読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゲームにおけるオーディオコメンタリーの可能性

最近では、DVDやBlu-rayには特典として製作者などによる作品の音声解説であるオーディオコメンタリーが収録されることが多い。オーディオコメンタリーは作品を違う視点から見ることが出来きる。一度本編を見た後でももう一度楽しめるので、一粒で二度おいしく、得した気分になる。製作者による解説は裏話を聞けて面白いし、ドキュメンタリーなどでは専門家による解説が付いていると分かりやすい。スポーツ中継の解説もある意味オーディオコメンタリーであるといえるだろう。
現在、映画などの映像作品ではDVDなどのメディアにする際に、オーディオコメンタリーをつけるのが当たり前みたいな雰囲気がある。「解説」といっても力を入れ込んだものではなく、また製作者同士の対談というほどでもないダラダラしゃべりでもラジオ的であり、聞くほうも気楽聞ける。それくらいの力の入れ方の方が作品とオーディオコメンタリーを両方に集中できることもある。何か映像を流しながらダラダラしゃべりをするといえば、ニコニコ動画などに見られる実況動画で、実況動画が受け入れられたのもそのような背景があるからかもしれない。
ニコニコにおける実況動画は特にゲームに多い。中でも、マイリスト 中二の頃作った黒歴史RPGを実況プレイするぜ ‐ニコニコ動画(ββ) などはRPGツクールで自作したRPGを自身でプレイし実況するため、ある種のオーディオコメンタリーと言えるかもしれない。しかしこれは「ゲームのオーディオコメンタリー」ではなく、「ゲームプレイ動画のオーディオコメンタリー」でしかない。ゲーム製作者による、ゲームプレイ動画のオーディオコメンタリーは、電撃オンライン|『ラストバレット』特集ページゲームセンターCX 有野の挑戦状2 初回特典DVD などが存在するが「ゲームのオーディオコメンタリー」とも言えるものはまだまだ少ない。

Guns of the HIDECHAN! Radio.

「ゲームのオーディオコメンタリー」と言えるものとしてMGS4におけるGuns of the HIDECHAN! Radio. がある。メタルギアシリーズの監督である小島監督は元々 KOJIMA PRODUCTIONS - HIDEOBLOG にてHIDECHAN! RADIO、略してヒデラジというウェブラジオをやっていた。ゲームと関係ない話をすることもあれば、ゲーム発売前だと様々名前情報を提供してくれるラジオである。大阪生まれなせいかしゃべりが上手く面白い話を聞けるので、iPod等に入れてみると良いと思います。そのヒデラジのMGS4版がGuns of the HIDECHAN! Radio.、通称ガンヒデである。MGS4はゲーム中にiPodが登場し、ゲーム中のBGMを変えられる。また、新たなBGMをネット上からダウンロードできるようにもなっている。プレイヤはiPodを使用することでガンヒデをゲームプレイ中に聞くことが出来る。ゲーム中にはガンヒデの第一回が収録されている。他のBGMと同じくガンヒデもネット経由でダウンロードできると告知されていたものの、長きに渡って更新されることがなかった。その後、2008年12月から第二回がダウンロードできるようになった*1MGS4の発売が6月であるから半年以上のブランクがあったわけだ。現在では全17回分の配信が終了しているので、MGS4を持っていてまだ聞いていない方は是非。また、PS3持ってないからプレイしていない方もMGS4のためだけにソフト込みで5万円を払う価値はあるし、MGS4だけで5万円分以上に楽しめるので是非。
ガンヒデはゲーム中にゲームについて語る解説が聞けると言う点がまさに「ゲームのオーディオコメンタリー」である。MGSシリーズはゲーム中のキャラクターが「○ボタンを押すんだ!」とか「コントローラを2P端子に指すんだ!」などとメタ発言をするゲームである。メタを笑いに昇華したゲームにおいて、ゲーム中にゲームの解説が聞けるという試みがなされるのは当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。ガンヒデは製作者側が音声でプレイヤーを誘導しながら、ゲーム中のオブジェクト等の解説をするツアー形式の番組が中心となっている。ゲームは映画のように皆が同じ道筋を辿るわけではないので、何の説明をしているか明確にするためツアー形式にしたのだろうが、ゲーム内でスネークを動かし、ゲーム中に仕込まれたネタを紹介されていくのは楽しい。MGS4PS3の性能を生かし街並みを極限まで再現したゲームであるためツアー形式で語られると、本当に旅行に来たような感覚になる。まさにゲームにしか出来ないインタラクティブなオーディオコメンタリーである。しかし、問題も残っている。先ず音声だけで説明しなければならないため、ツアーの道筋や何を指しているのかを解説するのが難しい。またゲーム中であるため、敵が出てくるとガンヒデどころではなくなる。敵に見つからないようにするためステルス迷彩を装備するにも、iPodと同時に装備することが出来ない。そして、ゲーム中のiPodの仕様上の問題として巻き戻しと早送りができない。ストーリーモードでiPodを聞くことは出来ないので、ストーリーについてのオーディオコメンタリーが聞けないなど。これらに関しては、オーディオコメンタリー用の道筋やアイコンを整備したり、オーディオコメンタリー用のゲームモードを作るなどの対策が必要だろう。MGSシリーズは完全版が必ず発売されるので、MGS4の完全版が出る際にはその辺の仕様が改善されていることをちょっとだけ期待してます。
ガンヒデにより「ゲームのオーディオコメンタリー」の可能性が見えてきた。現行のハードはすべてインターネット接続できるので、追加音声ファイルをダウンロードできるようにしておけば様々な形式のオーディオコメンタリーが可能であろう。また、製作者だけでなくユーザーによるオーディオコメンタリーだって面白いだろう。ニコニコ動画などの実況動画でいいかもしれないが、例えばこんな裏技見つけたよとか、こんな小ネタをみつけたよなどをゲーム中に聞ける、あるいは見ることが出来れば、それはまた違った表現が生まれるのではないか。私なんかは、ストーリーの解釈や演出解説なんかをやってみたいなと思う。あるいは、リトルビッグプラネットのようにステージを自作でき公開できるゲームにおいてステージ開発者によるオーディオコメンタリーが流れるというのも面白いだろう。日本では声を当てるのは敬遠されるかもしれないが、youtube などを見ていると欧米では結構流行るのではないか。あるいは、通常版の他にオーディオコメンタリー版ゲームなんてのもありかもしれません。
ゲームにしか出来ない、ゲームならではのオーディコメンタリーの今後に期待したい。

*1:その前にパイロット版があったけど