処女作はあるのに童貞作は何故ないのか

  • 処女
    • 処女は漢語で、「結婚前で実家に居る女性」=「未婚の女性」の意味。性行為の有無は含んでいないが、女性にとって初めての性行相手は配偶者なので、自然と「男性と性交経験がない女性」、つまり生娘の意味となった。
  • 童貞
    • 童貞は英語の“virgin”の訳語として明治時代に作られました。本来は、英語の“virgin”と同様に男女の区別無く性交を経験した事の無い人を指す。例えば、童貞マリアなどと女性にも用いる。また、カトリック教会の修道女を指す事もある。

英語の“virgin”は男女の区別は無いが、“maiden”は男性と性交経験がない女性を指す。つまり、訳語としては処女=“maiden”が正しいのだろう。


“virgin”には、使用されたことのない、未使用の、という意味があり、果汁から遠心分離などによって直接得られた油をバージンオイルなどと呼ぶ。その他、“virgin forest ”ならば原生林=自然のままの森、“virgin gold”=純金などがある。

一方、“maiden”にも同様な意味があり、処女航海は“maiden voyage, trip”である。初飛行も“maiden flight”である。これは、英語には名詞に性別の区別は無いが船はラテン語で女性名詞だから、“virgin”ではなく“maiden”を用いるのだろう。さらに初演説は“maiden speech”とやはり、“maiden”なのは“speech”が元々女性名詞だったからのようだ。

さて、処女作は英語で“maiden effort, work”である。“maiden”つまり乙女だから「処女」作が正しい訳語であるのだろう。で、英語で最初の作品をどうして“maiden effort, work”なのかは調べ切れませんでした。ちなみに、初陣も“maiden battle”と言うようだ。

“maiden work”は何故、“maiden”?という考察

以下は個人的な考察なので、英語の語源の詳しい人に聞きたいところ。

上記の、”virgin”の用法的に未踏の、まじりっけのない、純粋という意味がある。原生林(virgin forest)は未踏の、純金(virgin gold)は純粋な。一方、“maiden”は初めてのという意味合いが強いと考えられる。また、処女航海(maiden trip)は海が女性で、船も女性なので“maiden”を用いる。処女地(maiden land)も大地は女性なので“maiden”。これらから考えると、“maiden work”が“maiden”な理由は、処女航海と同じだとすると、“pen”が元々女性名詞だから。あるいは、作り上げた作品なので、未踏のとかまじりっけの無い、純粋なという意味を含む“virgin”は適さず初めてのという意味合いが強いので“maiden”を用いる。
恐らく、前者の女性的な暗喩があるから処女作(maiden work)なのではないかと。