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第7回 旧スクウェアゲーム音楽を語る 「始まる前からも戦いなロマンシング サガ2」

はじめに

ゲームソフトは1993年12月10日に9,900円で発売。ロマサガシリーズの第2弾。サガシリーズとしては5作目。バレンヌ帝国の歴史を紡ぐゲームである。
システムは前作を引き継ぐフリーシナリオで、皇帝を継承していく事で歴史が進行していく。領土を徐々に拡大しながら、七英雄を倒していく。ストーリーは前作でもキーキャラクターであった吟遊詩人がバレンヌ帝国の一大叙事詩を語るという形になっている。
戦闘システムはロマサガよりも2の方が後のサガシリーズの基板になったと言える。例えば閃きシステム。戦闘中にキャラクターの頭上に電球があらわれ「ピコーン!」という効果音と共に新たなる技が繰り出される様は非常に爽快である。攻撃だけではなく防御として敵の技を見切ることも可能であり、ストーリー上で重要な役割を担っている。陣形による特殊効果や、無くなると本当にキャラクターが死亡しに度々復活できなくなるLPなども引き継がれる。

作曲は伊藤賢治。本作が秘法伝説サガ2、ロマンシング サガに続いて3作目の担当となる。ロマサガ1と比べると音や曲調が丸くなったような気がします。サントラは1993年12月3日NTT出版により発売される。販売元はアメリカーナ・レコード。作曲終了が1993年の10月6日で、本作ではサントラもゲームの発売日とあわせたため作曲後もゆっくりする事ができず、引き続き曲のタイトルを考え無ければならなかったようです。というか、曲のタイトルって作ってるときにつけないんでしょうかね。

大いなる歴史の始まり

ゲームのオープニングは前作同様伝説が語られ始めます。その時流れるのが「プロローグ -七英雄の伝説-」。前作と異なるのは五部構成になっている点。第一部は七英雄の伝説が厳かな音楽と共に語られます。第二部は世界の様々な名所とともに平和で暖かな音楽が奏でられます。しかし、第三部では一転して激動。短いフレーズですが平和から一気に奈落に突き落とされ「運河要塞」、そして戦闘音楽が流れます。サントラ内に戦闘音楽のみが収録されていないのが残念です。最後は今一度奈落に突き落とすような音と共に、七英雄が画面奥から迫り伝説の七英雄の復活を演出しますが、それは伝説通りではない不吉な復活を曲が煽ります。そして2という文字と共に「オープニングタイトル」が流れます。基本的には前作と同じですが、やや音色等が丸くなっているようです。イントロは物語の始まりを思わせる静かな立ち上がりながら、力強さを思わせます。シンバルなど徐々に音色が増えて行き、ループして最初に戻ると思ったら、イントロにドラムなどが加わった豪華なバージョンで繰り返されていきます。
ちなみに、サントラ内には「プロローグ -七英雄の伝説-」のオリジナルが入っています。七英雄の伝説が語り終わった後の部分が削られていますが、この部分は大変盛り上がる曲調になっておりゲーム未収録なのが残念です。

NEW GAME を選択すると最終皇帝の性別と名前を入力します。その後場面は酒場となり、吟遊詩人がハープで奏でる「遥かなる戦いの詩」と共にバレンヌ帝国の歴史が語られるというストーリーとなります。ロマサガ2のシステム上最初と最後だけは同じですが、それ以外はプレイヤごとに歴史を作り上げる事になります。ロマサガ2のオープニングはレオンの仇をとしてクジンシーを討つまででしょう。この間に様々なドラマが展開されます。

クジンシー戦は演出的に素晴らしい。最初の登場はレオンが帝都を留守中に現れたクジンシーを迎え撃つが倒されてしまうヴィクトールの回想シーンにおいて。通常は帝都に戻るとどっしりと、それでいて軽快な「帝都アバロン」が流れますが、この時は悲痛な「異変−ヴィクトールの死−」が流れ、悲劇を予感させます。暗くゆっくりとした曲の中で七英雄の一人に挑むヴィクトール。しかし、「流し斬りが完全にはいったのに」顔色一つ変えないクジンシー。重々しい曲調が絶対的に適う事の無い相手との戦いをしたヴィクトールの決意を、そして絶対的な敵に打ち勝たなければならないというレオンの思いを、兄を失ったジェラールの悲しみを感じさせます。
ちなみに、「帝都アバロン」はゲーム中最も良く聞くの一つ。軽快なリズムで、皇帝継承後に流れると新たなる歴史の幕開けを、また一仕事終えて帰ってくるとホッと一息つけるようなアットホームな雰囲気も感じる曲でもあります。

曲への入りが抜群な戦闘曲たち

次にクジンシーと戦うのは、レオン達がソーモンへクジンシーを倒しに行く際。アバロンを差し出せというクジンシーの脅迫を退け息子のカタキを撃つことを選択したレオン。会話が始まると同時に、通常戦闘音楽が流れ始める演出が素晴らしい。戦いは戦う前から始まっているのだ。イントロは「バーン!」という戦闘突入時のSEと共に、戦闘に入り込んでいくかのようです。序盤を盛り上げ、中盤落ち着かせ終盤にかけて今一度盛り上がるという戦闘曲のセオリーに乗った曲ではありますが、心躍らせます。また、クジンシーとの会話をじっくり読むと、クジンシーとレオンの対立の火花が序盤の激しい曲調と合い、中盤の曲調が変わった当たりから戦闘へ突入するのもレオンが一旦落ち着きを取り戻したかのようで、尺的にもばっちりな演出に思われます。通常戦闘音楽のはずなのに、盛り上がるのは演出の賜物かなと。
熱い戦いでしたが、レオンは息子のカタキを討つことができず死亡。この時「全滅のテーマ」が流れます。レオンと最終皇帝までは、全滅=ゲームオーバーではないので「全滅のテーマ」はどちらかというと皇帝継承のテーマのような気がします。序盤こそは全滅にあった悲壮感漂う曲調ですが、その後の落ち着いた展開はプレイヤの立ち直りと次へ向かわなければという思いにシンクロしているようです。また、ゲーム的に皇帝が死ぬ、あるいは全滅してもゲームオーバーではないことをプレイヤに自然と知らせるシナリオという点でもレオンからジェラールの皇帝継承はゲーム的に素晴らしい演出だなと思います。
レオンの亡き後、今度は帝都がゴブリンに襲われます。皇帝になったばかりのジェラールが迎え撃つ事になり、その時流れるのが「皇帝出陣」。兵が「ジェラール様と・・・」言いかけて「皇帝陛下の御出陣!」と言い直し、レオンの決意と力を受け継いだジェラーラルが出陣していくシーンにあった力強いイントロです。また、その後はアバロン帝都外で聞く事が多いです。長い長い旅路や歴史、そして挑戦を思わせる曲です。
さて、三度めにクジンシーと挑む際に流れるのは「クジンシーとの戦い」。所謂通常ボス戦の音楽となります。レオンの時と同様に、セリフ時から流れ始めます。イントロは流れるような展開。スピード感はそのまま維持され続け緊張が最後まで途切れることはありません。曲は濁流のようにどんどん変わって行き、途切れない緊張がプレイヤに気を抜くなと奮い立たせているようです。
クジンシーに勝つとお馴染みの「勝利!」。通常戦闘後にも流れますが、各種イベントの達成後に流れる方が長く聞くことが多いです。

おどろおどろしいダンジョンと暖かな街や村

ロマサガ2のテーマ曲は「帝都アバロン」あるいは「皇帝出陣」でしょうか。ただ、それ以外に決まったテーマ曲は無い。そのため、ダンジョンの曲が多い。サントラ内では「ダンジョン1」が最初のダンジョン曲として収録されていますが、ゲーム内で聞くのは「ダンジョン3」が最初だったりします。「ダンジョン1」は妖しく、「ダンジョン2」はスピーディでロマサガの「最終試練」に似ています。そして、「ダンジョン3」は重厚です。また、名前どおりの場所で流れる「運河要塞」。「運河要塞」はその他オープニングやボクオーンの戦艦などでも流れます。侵入、潜入を思わせる曲です。
ダンジョンの中で最も怪しげなのは「沈没船」。沈没船以外でも墓地などで流れます。暗くじめじめした感じが沈没船や地下とマッチしてるように感じます。時々なる「カーン」という鐘の音が聞くものを不安に陥れます。
ロマサガ2で忘れられないのは「脱出!」かなと。「アリだー!」でお馴染みのアリイベントで流れますが戦闘シーンでも曲が変わらないためプレイヤは本当に急かされます。塔などで流れる「古代遺跡」も雰囲気出てますが、その周りのジャングルは獣の声のSEのみという挑戦的な演出です。残念ながらサントラには収録されていませんが。
ダンジョンはおどろおどろしい曲ばかりですが、街や村の音楽はほっと一息という曲が多いです。「村2」は出だしが「夏の思い出」のフレーズに似ているせいか「♪夏が来れば 思い出す〜 遥かな尾瀬 遠い空」と歌いだしたくなります。前半と後半では主旋律となる音色が違いメリハリが利いています。

荘厳なる七英雄

イトケン節が最も冴え渡っているのが「七英雄とのバトル」でしょうか。初めて聞いたときは衝撃的でした。最初の七英雄戦であるクジンシー戦では流れません。嫌われ者ですね。どの七英雄戦で最初に聞く事になるかは人それぞれですが、帝都の南であるナゼール地方をウロウロしているダンターグに接触して聞いたのが最初って人が多いのかなと思います。理由も無くウロウロしているダンターグだとあまり感慨はありませんが、イベントをこなし、長いダンジョンを抜け七英雄までたどり着き、戦いが始まる前に七英雄たちとセリフを交わすバックで「七英雄とのバトル」が流れ始めるという演出は熱い展開です。その他の戦闘曲とは異なり、重厚かつ荘厳です。七英雄が他のボスとは一線を画す強敵であることを示すような曲です。イントロは戦い前の対峙を思わせ、それが終ると戦闘になだれ込むように進行します。リズミカルにかつ重厚な中盤が終ると曲調が一気に激しくなり、ループする直前で最高潮の盛り上がりを見せます。僕はこの部分が一番好きですね。
さて、最後の七英雄を倒すと「七英雄とのバトル」のまま七英雄のグラフィックが画面の中心へと吸い込まれていきます。これはオープニングとは逆に七英雄が退出を表現しているかのようです。そして「ラストバトル」になるわけですが、この曲もまたイントロが素晴らしい。七英雄が回りながら合体していく様にピッタリです。一緒に鳴り響く雷と共に最後の戦いが始まるのだなと感じさせます。イントロが終ると流れるようで皇帝たちが押せ押せという感じですが、「タタタタン!」というフレーズで一旦立ち止まり、今度は七英雄のターンと怪しげになります。その後、静かに立ち上がって最初へと戻っていきます。

歴史を紡ぐもの

七英雄を倒すとエンディングとなります。やはりロマサガ2と言えば「歴代皇帝」は外せない一曲だと思います。大変重苦しい曲ではありますが、歴史を語る上ではこれくらい重厚な方が良い。「歴代皇帝」を聞きながら各皇帝の軌跡を見るとことで自分のプレイを、自分の紡いだ物語、そして帝国の歴史を振り返るのがロマサガ2の醍醐味かなと。そして、オープニングの酒場に戻り、一大叙事詩の「エピローグ」が流れます。各国の仲間たち最終皇帝の背中に現れては消えていく様子は最終皇帝のみが受け継いで知っている歴史を象徴しているようです。レオン、ヴィクトール、ジェラールの後に七英雄を共に倒した仲間たちが現れるという演出もちょっと涙が出そうです。

またしても語る事はつきませんが、ロマサガ2では前作同様サガシリーズでは外せない「涙を拭いて」、さらにGBサガシリーズのオープニング曲である「伝説は始まる」が流れます。「涙を拭いては」コッペリアを皇帝に即位させ退位した後に倉庫で壊れたコッペリアを調べると聴くことができます。皇帝となったのに打ち捨てられているさまがまさに「涙を拭いて」です。「伝説は始まる」はとあるイベントにて。GB版とはイントロとメロディーの順が逆になっています。これは完全にファンサービスでしょうね。

ロマサガ2はボス、特に七英雄との戦いの入り方が熱い。曲もそれに合わせたかのようにイントロから引き込まれる曲ばかりだ。特定のボスに共通したボス音楽を用意するという手法は次のロマサガ3でも見られる。

さて、気になる次回は「ビックブリッヂの死闘」が熱い植松伸夫FF5の予定です。