ゲームの難しさ

この項でのゲームとは主にテレビゲームのことである。
ゲームは難しすぎると楽しくない。かと言って簡単すぎてもつまらない。ゲームの楽しさと難易度には密接な関係がある。

ゲームの敷居

ゲームの難しさとは何だろう。一口にゲームの難しさといってもさまざまな要素があるだろう。恐らくゲームの種類によって難しさの要素のバランスが異なってくるに違いない。人によって得意なジャンル、不得意なジャンルがあるだろう。また、初心者でもプレイし易いゲームとそうでないゲームもある。初心者でもプレイし易いゲームとは敷居の低いゲームだ。敷居の低いゲームは簡単なゲームが多い印象だ。ゲームの敷居とゲームの難しさは密接に関係しているようだ。
RPGは誰でもクリアできるゲームと言われるように時間さえあればクリアできるように作られている。ただし、RPGをやったことの無い人にはやや敷居が高い。それは、ゲームのやり方と進め方が分からないから。やり方は、RPG特有なコマンド選択式インターフェイスが理解できないので、どのように操作すれば良いのか分からない。進め方は次に何をすれば良いのか分からないので詰まってしまう。まぁ、最近ではチュートリアルがあるのでやり方をゲーム内で説明してくれるし、次に何をしたら良いかも仲間が教えてくれたりと親切設計ですけど。

個人的に敷居が高いゲームはシミュレーション全般。シミュレーションにも色々ある。シムシティやA列車などの経営シミュレーションタビスタなどの育成シミュレーション。三國志シリーズなどのウォー・シミュレーションゲーム。フライトシミュレーターなどのシミュレーターなど。
シミュレーションの敷居が高いのは、先ずゲーム内で何をすればよいのかわからないこと。やり方が分からないのだ。やり方が分かってもどのようにすれば成功なのかが分からない。たとえばシムシティなら、最初に電気と水道と道路を引かないと町ができないことがわからない。次に、どうすれば町が発展するか分からないという感じ。また、シミュレーションはスパンが無い。スパンが長いので繰り返し単位が長くなる。ゲームは失敗して覚えるものなので、繰り返し単位が長くなると失敗を学ぶ時間も長くなり、結果覚えが遅くなる。だから敷居がますます高くなる。

やり方と進め方が分かり易いという点で、スーパーマリオブラザースは非常に優れたゲームである。十字キーを押せば進みたい方向に進める。スタート直後も、マリオが左端で右を向き、右側が開いているので右に進めばいいのだなと分かる。
ゲームの敷居は、ゲームのやり方と進め方が分かりやすいか否かに関わっている。つまり、ゲームの難しさにやり方と進め方なる要素があるのだ。

廃れたゲームジャンル

「廃れた」とは言い過ぎだが、昔は一世を風靡していたのに今では一部の人しかプレイされていないジャンルがあえう。良く挙げられるのが、STG、各ゲー、音ゲーであろうか。
音ゲーはビートマニやDDRなどを嗜んでおりました。特にDDRはゲーム初心者にも分かり易く、一時期ブームになっていた記憶があります。DDRはゲーム画面に流れてきた矢印をタイミングよく踏むだけというやり方が非常にシンプルなゲームである。敷居は低かったかが段々と難易度が高くなり、人が離れて行った印象。そこそこの難易度なら足の運びを考えるだけで何とかなったが、あまりに矢印が増えるときついものがある。実際僕も、そんな感じで難しくなりすぎてゲームセンターでプレイできなくなってしまった。だからと言って、DDRを家でプレイするには様々な制約がある。DDRはゲームのやり方は一目瞭然だったが、徐々にテクニカルになり一部の人しかプレイしないゲームになった印象。これは、STGや各ゲーにも同様な側面がある。
格ゲーは必殺技コマンドの複雑化および、コンボなどの入力の正確さが必要になった。STGは障害物および弾幕の強化による難易度の向上が初心者の敷居を高めのが衰退した一因であろう。

先駆者的にその後ひとつのジャンルを築いたゲームはやり方、及び進め方が分かりやすく敷居が低い。また、そのゲームが後発のゲームの雛形となることも多い。インベーダーは非常に分かり易いゲームだ。しかし、インベーダーばかりをプレイしていると徐々に飽きてくる。プレイヤーを飽きさせないために新たなる要素が必要になる。例えば、敵が動いたり、フィールドが動いたり、ボスを配置したり、弾を増やしたり。プレイヤーの技術が向上するにしたがって、複雑化する。どんどん求められる技術が高くなる。すると、初心者にはプレイできなくなってくる。これが、ゲームが廃れる原因の一つであろう。そして、この複雑化、技術的な難しさがゲームの難しさの一つであろう。

ところで、アーケードにおいて、STG→格ゲー→音ゲー→通信対戦系あるいはカード系へと推移してるのは興味深い。

飽きないゲーム

何度プレイしても飽きないゲームがある。人それぞれであろうが、僕はテトリスは何度プレイしても飽きない。テトリスも一世を風靡したゲームである。その後も何度か小さいながら流行があった。テトリスが流行った理由も敷居が低いから。テトリスは落ちてくる様々な形をしたブロックをライン上にそろえて消すパズルゲームであり、落ちものパズルの始祖である。ブロックを並べて消すだけといたって単純なルールとテトリス棒による4段消しの快感により流行したものと思われる。単純なゲーム故に中毒性があり、テトリス中毒者は、脳内で勝手にブロックが落ちてきたり、ビルの窓でテトリスをしたりと寝ても覚めてもテトリス状態となる。
テトリスパズルゲームの一つである。通常のパズルゲームはパズルの解き方を知ってしまえば終わりである。何故なら、パズルは解くのが楽しいのであって、解き方を知ってしまったパズルには何の魅力も無い。しかし、テトリスは落ちてくるブロックがランダムであり、フィールドの状況は刻一刻と変化し、その場その場の対応を求められる。そのため、テトリスパズルゲームでありながら解けてしまって魅力がなくなることは無い。数学的にテトリスNP完全問題であるらしい。飽きるとしたら、ブロックをライン上にそろえて消すという単純作業に飽きたときだ。しかし、遍くゲームは単純作業であるから単純作業に飽きるという宿命から逃れることはできない。
テトリス - Wikipedia
ゲームを飽きさせない工夫として、組み合わせを増やすという選択肢がある。キャラを増やす、面を増やすでは要領に限界があるので組み合わせを増やすのだ。RPGで例を挙げるなら、DQ3の転職、FF5のアビリティシステム、ロマサガのフリーシナリオなど。この組み合わせを考えるのもパズルの一つと言って良いだろう。

やり方を知り、進め方を考え、与えられたパズルを解くために技術を駆使する

ゲームは与えられたパズルを解いて楽しむものだ。だから、テレビゲームをクリアすることを「解く」と言うのだろう。
パズルを解くためには、やり方と進め方を知らなければならない。たとえば、チェスや将棋は駒の動かし方を知らなければ話にならない。次に、進め方を知る必要がある。囲碁はやり方自体は難しくないが、何処にでもおけるという自由度により初心者には進め方が分からない。自由度と進め方は密接な関係にあり、チェスはすでに人間よりもコンピュータの方が強いが、将棋はまだ人間の方が強い。これは、将棋は取った駒を自由な所におけるからである。やり方と進め方がゲームの敷居であり、これが難しいと初心者には厳しいゲームとなる。
やり方と進め方が分かったならば、クリアを目指す。クリアするためには、アクションゲームならば、キャラクターをどのように操作するか、STGならば敵を倒すため、弾をよけるため、地形を利用するために自機をどのように操作するか、シミュレーションならばどのような戦略、戦術を用いるか、RPGならば敵をどのように倒すか、を考えなければならない。これらが、それぞれのジャンルのパズル要素であろう。
クリアするには与えられたパズルを解く必要がある。その一つの例がボスであろう。RPGならば弱点を突いたり、特定のアイテムが必要だったりする場合がある。しかし、RPGにはおれは取り合えずレベルを上げればボスを倒せるという救済処置がある。一方、アクションやSTGなどになってくると、ボスの倒し方が分かってもそれを実行に移せない場合もある。それは、プレイヤーの技量が足りないから。ボスを倒すためには、プレイヤー自身がレベルアップしなければならない。そうは言っても、人には向き不向きがある。クリアできる技量に辿りつくまで時間がそれぞれ異なる。また、どんなにがんばってもクリアできる技量にまで辿りつけないことだってある。この、プレイヤーの技量的難易度がゲームを廃れさせてしまう場合がある。それが、先に挙げた音ゲーなどである。確かに、音ゲーにしても、格ゲーにしても、STGにしても時間さえかければある程度の技量までは到達する。しかし、すべての人が同じ時間をかけられる分けではない。また、好きな人ほどプレイ時間が長くなり、技量がどんどん上達していくので、これまでの難易度では物足りなくなるので、開発側が難易度を上げる。すると、そのレベルに着いていける人しかプレイしなくなっていき、最終的に初心者が流入しなくなり廃れるわけだ。
技量のバランスは非常に繊細で、簡単にしすぎると直ぐに飽きられるし、難しくしすぎても直ぐに投げられる。秀逸なゲームクリエイターはこのバランス感覚に優れるのだろう。

ゲームの難しさまとめ

  1. やり方
    • ゲームのプレイの仕方。操作性やルールなど。
    • アクションならば、操作法、クリア・ゲームオーバー判定
    • やり方が難しいと、ゲームの敷居が高い。
  2. 進め方
    • ルールを知った上でゴールへの道筋が分かり易いか否か。
    • 次に何をすればよいのか。どのような戦術、戦略を選択していくか。
    • 進め方がわからないと、ゲームは投げられる。自由度が高すぎるのも考え物である。
  3. 謎解き
    • 与えられた状況の切り抜け方など。
    • 最適な組み合わせ導き出すなど。
    • 解かれた謎に魅力は無い。
  4. 技量
    • アクションならば、自機の操作の仕方。コマンドを的確に入力できるか。
    • 繰り返すことで身に付けるもの。
    • 求められる技量が高すぎると初心者がついてこれなくなる。

ゲームの難しさの最後の敵は「運」。麻雀のプロが今ひとつ胡散臭いのは「運」が関わってくるから。何回対戦しても、将棋や囲碁のプロに「運」で勝てることは先ず無いが、麻雀ならば「運」で勝てることもあるだろう。「運」要素を導入することで、初心者と上級者の隔たりを減らすことはできるが、あまりに多用するのも考えもの。