一円硬貨を拾うのは損か

一円硬貨を拾うには二円のエネルギーが必要だから、一円硬貨を拾うのは損だと言う俗信があるが、アレって本当なのかなー。というわけで実際に調べてみた。

さて、先ず一円硬貨を拾う際に消費するカロリーが分からないと始まらない。しかし、一円硬貨を拾うカロリーなど載っているわけがない。そこで、似ている運動から産出する。似ている動作はやはりスクワットであろうか。家事ながらダイエット - gooダイエットにおける、洗濯物取りスクワットが一円玉を拾う動作に近く、その消費カロリーは5.4 kcal/分である6秒×10回であるから、一回あたりの消費カロリーは0.54 kcalである。凡その誤差はあるだろうが、一円硬貨を拾うカロリーは0.5 kcal程度と言うことか。また、一円硬貨を拾うには6秒もかからないので、消費カロリーはもっと少ないだろう。「1g分の荷重を運搬する際に消費するカロリー」はほぼ誤差範囲でしょうから無視します。なぜなら、人間の体の方が遥かに重いので。一応計算してみると、1 gの物体を胸元まで=約1 m持ち上げるのに必要な位置エネルギーは、0.001 kg×9.8 m/s^2×1 m = 0.0098 J。4.2 cal = 1 Jなので、0.0098 J = 0.0023 calとめちゃくちゃ小さいので無視できます。
では、一円当たりに得られるカロリーはどれくらいなのだろう。これも換算が難しいが、日本の家庭の月間総支出の平均額は?年代別に比較したデータを参考にしたい。年代が上がるにつれ、食費が増加するが、それは食事が豪華になっているだけだろうから、日本人が生きていく上で必要な食費は、最も額の少ない20代を参考にする。また、成人が必要な摂取カロリーは年齢と共に減少する点も考慮すると、20代を参考にするのが相応しいだろう。そこで、一ヶ月あたりの食費を45,368円とする。ただ、生きていくだけならもっと少なくても大丈夫そうだが。
一ヶ月あたりの食費が45,368円ならば、一日あたりの食費は、45,368円÷30日=1512円/日となる。先の家事ながらダイエット - gooダイエットは女性向けなので、女性が一日に必要とする摂取カロリーは、成人の摂取カロリー | 成人の摂取カロリーの解説によると、2000 kcalである。つまり、食事により一円当りに得られるカロリーは2000 kcal/日÷1512円/日=1.3 kcal/円である。大雑把な計算だが、一円により得られるカロリーは1.3 kcalとなる。
一円硬貨を拾うには0.5 kcal必要で、一円により得られるカロリーである1.3 kcalより0.8 kcal少ない。つまり、0.8 kcal=61銭分得をするはずである。というわけで、大雑把な計算だが一円硬貨を拾うと少なくとも61銭得をするのである。

蛇足:一円硬貨を作ると赤字なのか

ところで、一円硬貨で有名な話と言えば製造コストが一円以上というのも本当だろうか。アルミニウムは1 kgあたり250円である。一円硬貨の重さは1gなので、アルミの原価だけで0.25円である。成型加工費等は分からないが、大量生産なのだから1枚あたり1.6〜1.8円程度のコストが必要ってことは無いんじゃないかな。ただ少なくとも一円以上のコストはかかっていそうだ。
参考:お金の原価はいくらなの?

追記

コメント及び、病月 - シンプルにによると、一円でも拾ったものを自分のものにすると「遺失物等横領罪(刑法254条)」になるようです。罰則は最高1年以下の懲役ですが、流石にそこまで重くなることは無いでしょう。というわけで、一円硬貨でも拾ったら交番へ届けなければならない場合、その労力を考慮に入れると確実に損でしょうね。
さて、実際に一円硬貨を拾い警察に届けた場合、5%以上20%以下の「報労金」が貰える筈です。一円硬貨の場合、5銭以上20銭以下の報労金を貰う権利がありますが、実際に貰うことは不可能なので、どうなるのでしょうかね。というか、警察の労力、書類等の作成を考えた場合、一円硬貨を拾いそれを警察に届けると言う行為は多大な赤字になりそうな気がしますが。
そもそも、一円硬貨をネコババしても、「遺失物等横領罪」に問われる確率は極めて低いと考えられるので期待値を考慮しても、一円硬貨を拾って損をすることは無いでしょう。
後、本文中ほどに「1g分の荷重を運搬する際に消費するカロリー」を追記。

追記の追記

一円硬貨をネコババしたら、「遺失物等横領罪」ではあるが罪が軽すぎるので法的には問題ないらしい。
ところで、ある羽田方面の一日(TVアニメ/NHK語学/ゲーム)における人件費換算も以前やったことあるんですが、ざっと計算してみるとスクワットを例に取るなら一円当たり4〜6秒かかるわけで、最大でも一分で10〜15枚しか拾えない。さらに1時間ずっとスクワットし続けることは出来ないので、一時間では500枚ほどしか拾えないだろうね。そう考えると損か。しかし、人件費換算の場合は、その時間を働くための時間として換算しているが、道端で一円硬貨を拾う時間は、移動の最中であるので働くための時間ではない。そう考えると、やっぱり得はしてるのではないでしょうか。