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「萌え」は如何にしてオタク間に広まったのか

「萌え」の語源及び普及については諸説ある(参考:萌え - Wikipedia)。個人的には「燃える」あるいは「燃え燃え」の誤変換(意図的にしても、ワープロ文化は一因であろう)で、その後恐竜惑星の萌や、セーラームーンの土萠ほたるなどが、「燃え」→「萌え」の普及の一因になったと考えている。
以下、言語としての「萌え」を考察し、「萌え」がオタクへと普及した要因を考える。ただし、私自身、理系であり日本語専攻でもないので、間違いが多々あると思いますが、そこは素人の戯言とご理解頂けると幸いです(逃げ口上)。間違っていたら、遠慮なくコメント欄でツッコンで下さい。

「萌え」は連用形

「萌える」の活用はア行下一段活用なので、「萌え」は連用形です。ただ、「萌え」自体は最早名詞として使用されていますが。
さて、動詞の連用形はどのような用法なのか。例えば株等でよく使われる「買い」や「売り」は元々は動詞の連用形ですが、名詞として使われています。また、「売り」にはセールスポイントという意味もあります。直訳すれば「売る点」。また、格闘ゲームにおける「溜め」も連用形で、「溜めること」の意と、「溜めている状態」の意があります。
このように、動詞の連用形として「萌え」を考えると、「萌え」には「萌える」こと、また「萌えている状態」、「萌えるポイント」という意味があると言えます。
「萌えている状態」の主語は主に自分自身であり、この場合は「自分はそのキャラクター(あるいは眼鏡などのアイテムも可)をかわいいと思う」状態にあるという意味でしょうか。これは、脳内補完における、萌えキャラとオタクとの一方向的関係(汎適所属)「萌え」って何? にあるように、「萌え」とはそもそも一方的なもので、オタクの自己中心的な部分の表れとも言えるでしょう。
「萌えるポイント」ならば、要するにキャラクターに萌えるポイント=属性がある、あるいは萌え属性そのものを示す。元々キャラクターに対して使われていた「萌え」だけども、動詞の連用形としての「萌え」は「萌えるポイント」としても意味をとることが出来るため、キャラクターの性格や外見などの要素を因数分解萌え属性をが見出されたのも自然の流れかもしれない。
また、「萌え」は「萌え〜!」のように感嘆文にも使える。このように、使用方法が多岐に渡ることが言葉遊びが好きなオタク達へ「萌え」が広まった一因になったと考えられる。

「萌え」の発音

以前、「萌え」は文語だと「文語の「萌え」と口語の「萌え」の断絶」で述べたんですが、それでもオタク間で発音さることはあるわけで。
日本語の発音は高低で表現されます。「ハシ」や「アメ」のような同音異義語はその高低で意味を判断します。ただし、普段特に意識していないので、アクセントを確認する作業は結構大変。
さて、「萌え」のアクセントはどのようなものか。先に述べたように、高低のみで、「萌え」は2文字だから、goo辞書の凡例「アクセント」に則ると、0. 高低差無し、1. 語尾が下がる、2. 語尾が上がるの3つとなります。オタクの発音する「萌え」は高低差が無いので、0.なのですが、テレビなどのメディアでは名前と同じ1.の発音が多い。これは、イントネーション。においても、同様の考察が成されているので間違いないかと。そして、口語として「萌え」を発音している人は、「萌え」を「萌え〜」と発音した人たちのように、「萌え〜」と語尾を延ばすのです。そして、弛緩した「萌え〜」からは、萌えオタ達の複雑で必死な心情が伝わってこない。そして「萌え〜」と発音したことで意味が変わってしまったのです。
ところで、「燃え」の発音も0. 高低差無しである。この事は、「萌え」が元々「燃え」であったことの一つの証拠になるのでは。もし、キャラクターならば、名前と同じ発音である、1. 語尾が下がるはずですし。

オノマトペとしての「萌え」

「萌え」は繰り返して「萌え萌え」と使用することがある。これも元々は「燃え燃え」であった名残とも考えられる。さて、日本語において同じ音を反復する言葉は擬音語、擬態語=オノマトペである場合が多い。つまり、「萌え萌え」はオノマトペである可能性がある。
「萌え萌え」がオノマトペであるという提言と検証は、「萌え」の国語学(注:PDF)でなされています。PDF嫌いな方は擬態語へ。擬態語とは「物事の状態や様子などを感覚的に音声化して表現する語」であります。つまり、「萌え萌え」を擬態語とすると「自身がキャラクター等に萌えている状態、あるいはそのキャラクターに萌え要素が存在する様子」という意味となり、これはオタクが使っている「萌え萌え」の意味そのものである。

オノマトペは,言語としては幼稚なもの,原始的なものといわれていますが,それゆえに,子どもから大人まで直接的,感覚的に理解できる,イメージ喚起力の強い言葉です。
「萌え」の国語学より引用

また、オノマトペは日本語的な表現でもあります。つまり、「萌え」から日本語的なオノマトペである「萌え萌え」が派生し、それが直感的、感覚的に分かり易かったため広まったのは自然な流れでしょう。つまり、「萌え」からオノマトペが派生したことが「萌え」の広まる一助になったと考えられる。

一般人に広まる「萌え」

「萌え」がオタクに広まった一因をまとめる。

  1. 「萌える」から連用形である「萌え」へ
    • 連用形の「萌え」は様々な意味が派生
    • 発音は「燃え」と同じの高低差無し(「萌え」が「燃え」から変化した証?)
  2. 「萌え」からオノマトペが派生した
    • 「萌え萌え」など
    • オノマトペは直感的、感覚的に分かり易い

さて、2000年以降から「萌え」が徐々に一般人にも浸透し2005年には流行語にもノミネートされましたが、その意味は元々からは外れている。一般人が「萌え」を理解すには、例えば「メイド」といった強烈な記号が必要である。また、「メイド」もメイド喫茶の「メイド」であって2次元でなく、3次元だ。そのためか、一般人は臆面も無く3次元に対して「萌え」という訳だが、元の意味を考えたらおかしな話だと思う。このように、「萌え」がオタクから一般人に伝わった時に、あるいは「萌え」が文語から口語に変わった時に、意味が変化してしまったのだろう。