スラングを他の文化圏で使うことについて

スラングとは

スラングとは辞書に「特定の社会や仲間うちの間だけで通じる卑俗な語」とある。故に「卑俗な語」であることを差し引いても「特定の社会や仲間うちの間だけで通じる」言葉であるから、そのスラングを「その特定な社会や仲間うち」=「文化圏」以外で使うべきではない。なぜなら特定の文化圏以外で使用しても意味が通じないから。そもそもコミュニケーションとは相手に自分の意図を伝えることが目的なのだから、意味の通じない言葉でコミュニケーションをとる意味が無い。時間とスペースの無駄。その上で、特定の文化圏で異文化圏のスラングを使うのは失礼だ、無礼だという話をすべきなんじゃないかなぁ。そして、ネットにおけるスラングで有名なのは2ちゃんねる用語(以下2ch語)で、広く使われているだけに、人気ブログのコメント欄2ちゃんねらー対応とそれに対する2ちゃんねらーのコメントのようなことも起こり易い。

2ch語とは

その発生

2ch語とは、2ちゃんねるで生まれた日本語に属するスラングである。日本語を理解できる人間ならばある程度その意味を推し量ることはできるが、その発生した経緯を知らなければ、真の意味を理解できることは先ず無い。
さて、どうして2ch語が生まれるのか。お祭り好きの2ちゃんねらーという性質から、単純に面白いから発生したと考えることもできるが、それだけではなかろう。祭りなど一過性のもので、生み出す原動力にはなるが、言葉として長く使われるには、何か他の要因が必要だ。その要因とは、ネットでは「文字でしかコミュニケーションがとれない」であろう。ネット以外ならば、主に「会話」であり、実際に会って話すならば、音声の他に身振り手振りが加わり、その情報量は「文字」など比べ物にならない。音声だけの、例えば電話であっても、声のトーンや話し方により同じ言葉であっても全然違う意味が加味される場合がある。文字では絶対にできないことである。
さらに、興味深いことに人間は話す内容よりも、見た目の方を重視しているとも言われている。これを裏付けるように、人は見た目が9割 (新潮新書)なんて本もあるし、「見た目」重視派は6割。「見た目以外」重視派は4割。なる報告もある。
というわけで、「文字」によるコミュニケーションは「会話」によるそれには遠く及ばない。及ばないでもないが、その詳細を説明するのはかなり助長になってしまう。だから、ネットには長文がゴロゴロしているのかもしれない。

その利用

話題がそれてしまったが、2ch語は「文字」によるコミュニケーションにおいて、「文字」だけでは補いきれない意味合い(会話なら伝わる)を補完するために生じたということ。例えば、2ch語には同じ「面白い」を意味する言葉でも「w」、「ワロス」、「全米が泣いた」等など、その用途によって様々な用語が存在する。同様に顔文字も多種多様だ。つまり、2ch語とは「文字」ではどうしても脱落する微妙なニュアンスを伝えるために生まれた産物なのだ。この辺の考えは304 Not Modified: 2ちゃんねる用語という高級言語とほぼ同じですが、僕はコレほどあっさりとは書けない。
これは2ch語に限らず、あらゆるネット上のスラングというか、ネットに限らず遍くスラングに当てはまるだろう。要するに、既存の言葉ではどうしても説明できないニュアンスをスラングに託すのだ。微妙なニュアンスを伝えたいからスラングは生まれ、そしてその微妙なニュアンスを伝えたいという背景を知らないと、そのスラングの意味が分からない。だから、他の文化圏には意味が通じない。そして、スラングが生じることで、コミュニケーションがより高速化される。特に、スレが流れ易く、時間との勝負の2ちゃんねる(一部)において、短く意味の通った2ch語が使われるのはまさに高速化に対応しているからこそである。そういう意味でも、2ちゃんねる用語は高級言語ともいえる。

校区内のことしかしらない一部ネラー

他文化を理解してから行動するのが日本人じゃねーのかなぁ

さていよいよ本題で、人気ブログのコメント欄2ちゃんねらー対応とそれに対する2ちゃんねらーのコメントに関する雑感は、「他文化を理解してから行動するのが日本人じゃねーのかなぁ」ってこと。『少なくとも靴を脱いで上がるくらいの』と同じような意味だが、海外へ行く際に、その国の言葉を使おうとするのが日本人の奥ゆかしさだったんじゃないかなぁ。最近は、海外旅行に行くおばちゃんはおしげもなく日本語を使い、インテリは当然のように英語を使い、全然そうでもないですが。
上記にもありますが、ちょっと前までは自動ニュース作成Fにおいてコメント欄に2ちゃんのスラングがあると、「半年ROM」というレスがあったものです。最近では、そのレスすら付かない、あるいは本気で喧嘩してるかのどっちか。「半年ROM」のほうがスマートだと思うのだけども。

スラングを他文化圏で使う意味

僕個人のスタンスは、スラングが特定の文化圏でしか通じない言葉なのだから、本当にコミュニケーションをしたいなら、他の文化圏でスラングを使うのは愚の骨頂であると。ただし、2ch語に関しては、ネットをやっている人なら大体知っているので意味が通じてしまう場合が多々あるということ。こうなると、無礼・失礼の問題になる。2ちゃんねる内では空気が読めるくせに、それ以外に行くと空気が読めない香具師になってしまうネラーって何なのでしょうか。要するに、自分の校区内のローカルルールなら分かるけど、それ以外での大人の常識は分かってない高校生みたいなもんか。厨房ではないからね。でも、その一部のネラーは「2ちゃんねるこそが日本のインターネットだ!」と思っているのがこの手の最大の問題ってこった。
最後に、2ch語がネットで広く知れ渡っているから、2ch語を使うなとは強くいえないのだけど、例えばギャル文字(参考:あなたは解読できるか?──絵文字,顔文字そして「ギャル文字」)を使われたとしたらどうだろう。恐らく、意味不明とか失礼だなとか、幼稚な奴だなって思うでしょう。これは2ch語でも本来同じはずなんだけどもね。