Android 10 にすると ATOK が起動しなくなるが再インストールすると復活する

Android 10 にしたら ATOK が起動しなくなる問題は。

  1. Google Play から 端末にインストールしている ATOK を探す
  2. 「アンインストール」をタップ
  3. アンインストールが完了したら「インストール」を選択
  4. ATOKを開く
  5. それでも起動しない場合は電源を長押ししてから「再起動」を選択

ATOKの提供する辞書をインストールしている場合、それも全てアンインストールする必要なこともあるようです。
また、アンインストールしなくても、ATOK Sync の再同期、あるいは設定メニューからテーマの編集でキーボードを呼び出せたとの報告もあります。

Android 10 リリース

japanese.engadget.com

アメリカ時間の9月3日、日本では4日の未明にAndroid 10 がリリースされました。日本では、Pixel 3 と Essential Phone が対応しています。
早速 Essential Phone に導入して先ずは Pokemon GO の起動が問題なく起動することを確認。ジェスチャー機能などを設定していたら、なぜか「ATOK PRO」が起動しない。キーボードも切り替えられないので「設定」からメインのキーボードを変更する必要がありました。ATOK が使えるから Android 端末を利用している面もあるので、ATOK が使えないのは非常に困ります。
Twitter で検索すると同様の症状で困っている人がいる模様。すると、を再インストールしたら使えるようになったとのツイートがあったので試してみたら、再度使えるようになりました。
その後、TwitterATOK を起動できずに困っている人に再インストールを促してみると、使えるようになったとのリプライを頂きました。AndroidATOK アプリは数種あるので全部が同じ対応可は不明ですが、とりあえず再インストールを試して見て下さい。私は「ATOK Pro」を使っており、再インストールして契約の有効化を行うと問題なく利用できました。

認証周りの問題のような気がするので、もしかしたら「契約の有効化を行う」で「別の契約で有効化を開始する」を選択す、元の契約を入力すれば復活するかも?Pixel 3 はまだ Android 10 にしていないので、試したら追記します。

Android 10 のアプリ対応情況

以下に私が確認したアプリの起動の可・不可をまとめておきます。Twitter とか Amazon などの大手は特に問題ないと思うのでわざわざ書きませんけど。

  • 起動不可(2019年9月4日現在)
    • FGO
    • Puzzle & Dragons
  • 再インストールで復活(2019年9月4日現在)

「ユア・ストーリー」でネタバレ祭になったのは、問題のラストシーンしか語るべきことがないからでは

私はネタバレされてもあまり気にしない。気にしない理由の一つは、叙述トリックものが好きだからってのはあるだろう。叙述トリックものはジャンルそのものがネタバレである。しかし、予め知って読むと構造を理解しやすい側面もある。東野圭吾作品なら、まぁ叙述トリックものだろうなと思って読むだろう。
もう一つは、子どもの頃にゲーム進度の速い人からネタバレされまくった経験があるからだ。耐性がついたというよりも、ネタバレで知った結末と、実際に過程を追って経験した結末とは、感じ方が全く違うことを知れたのが大きい。同じ物語でも、他人と自分の経験は異なる。ネタバレであっても異なるフィルターを通ることになる。
もちろんネタバレを知ると、初見の驚きは減る。その一方で驚きによって作品を冷静に読解できない場合もある。驚きがあっても、繰り返し体験すれば作品を咀嚼できる。しかし、繰り返すかは驚きよりも、繰り返し体験できる程の作品であるかの方が重要だ。つまり、何度でも楽しめるだろう、という期待感の方が大きな比重を占める。

もちろん、ネタバレを嫌う人がいるのを知っているので率先してネタバレすることはしない。ブログで感想を語るときもネタバレありきだが、それを明記するようにしている。というわけで、本稿は「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」について語っていく。その他の作品もネタバレを含むが、特に明記はしない。

ネタバレに耐性があろうがなかろうが、ネタバレをしないという暗黙の了解はあると思う。ただし、よく知られた作品はネタバレをしてもいいというコンセンサスもある。この、よく知られた作品は個々の判断に委ねられている。
ネタバレの是非に拘わらず、昨今はネタバレをシャットダウンするのは難しい。ネタバレを避けるなら、公開日に体験する他にない。話題作なら尚更だ。「君の名は。」や「カメラを止めるな!」の公開時に率先してネタバレを流す人はいなかったけども、Twitterを眺めていると大体分かってしまった。けれども、それを知っても私は十分に楽しめた。

さて、ユア・ストーリーである。賛否のあるラストのネタバレが問題になっている。ただ、これも決定的なネタバレを踏まなくても、メタ構造あることは察しが付くように思う。私自身は元々見る気は無かったがネタバレを知って、それを確認するために見に行った。自分で体験した結果、問題とされるシーンでは無く、構造そのものがダメという感想。あの構造にするならば、原作であるゲームを頑なに準拠すべきであると思う。我々の世界とは異なる世界戦のドラゴンクエスト5であるという解釈はありえない。主人公がいつも「リュカ」でプレイするのは小説版が存在するからで、そうでなければ「エル・ケル・グランバニア」にはならないだろう。

そもそもドラゴンクエスト5そのもはネタバレされまくっている。パパスは死ぬし、結婚イベントがあるし、主人公ではなくその息子が主人公であることも広く知られているだろう。ドラゴンクエスト5に限らず、古典はしばしネタバレだけそ知っている人がいるのではなかろうか。スターウォーズのダースベイダーがルークの父親であることは、マーク・ミハルにも伏せされたそうだ。しかし、現在は誰もが知っているネタバレだ。ミステリーならば「オリエント急行」や「アクロイド殺し」などなど。どちらもアガサクリスティだが、「アクロイド殺し」を再現したのが「ポートピア殺人事件」の「犯人はヤス」なのだろう。
メタ構造自体は、特に珍しくも無い。スピネル | 邦キチ! 映子さん - 服部昇大 | 珠玉の女性向け作品を集めた無料漫画サイト を例に出すまでもなく、代紋2やゲームではスターオーシャンなどがある。夢をみる島もある種のメタ構造だが、「ポートピア殺人事件」のように堀井雄二もメタ構造が大好きだ。ドラゴンクエストのりゅうおうの問いはもちろん、ドラゴンクエスト6はメタ構造そのものである。それ故に、ユア・ストーリーのプロットはむしろ気に入っている可能性があると思う。

ユア・ストーリーは他の新作映画作品よりもネタバレありきで語られる傾向にあるのは確かである。件のシーンまでは、文句はあるもののCGとしては及第点である。その点は遜色ない。序盤の駆け足や妖精の国など細かなシーンで気になる構成はあるものの、尺の都合で仕方ない面もある。
逆に言うと、件のシーンまではそこそこ無難である。また、それが無ければここまで感想が語られることもなかったであろう。むしろ、語るべき所がそこしかない。それ故に、ネタバレありきで語られるのだろう。

先にも述べたように、個人的にはネタバレは気にしないが、気にする人がいるのでTwitterなどでは基本的に控えている。ただし、完全にネタバレにならないように語るのは無理だ。各々がネタバレにならないと考えたツイートも、塊でみてい見ていくとネタバレが朧気ながらに浮かんでくる。ネタバレを完全にシャットダウンしたいならば、真っ先に作品を体験すべきだろう。

おばけが「せなけいこ展」に行ってきた!

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横須賀美術館で開催されている「せなけいこ展」に行ってきました。横須賀美術館そのものもかっこいいのですが、「ねないこだれだ」に取り憑かれているからじっくり見ることができなかった。

ねないこだれだ」が50周年だそうです。かつてはアイコンに「ねないこだれだ」の使っていた自分の原点でもあるので、わざわざ横須賀まで出向きました。しかし、全国順次開催予定なんですね・・・・・・。近くに来ることがあれば、また行きたい。

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絵本の原画、つまり切り絵の原本が中心の展示会で、人もそんなに多くなかったのでじっくりと見ることができました。原本だけ見てもお話しがなんとなく分かるので、絵本として本当に良くできているのだなと。
また、ずっと気になっていた切り絵の柄の元ネタを知れて楽しかったです。「めがねうさぎ」のうさぎちゃんが着ている赤のチェック柄が鎌倉の文房具点のものであったり、同作品で買い物かごなどに使われているバランっぽい和柄が「とらや」のようかんのパッケージであったり、紙をたくさん取っておくのはお母さんっぽい。実際、子育て中に絵本のアイデアがどんどん思い浮かんできたのだそうです。

絵本以外にも、下書きなどのラフ絵や絵本のパイロット版あり、それらを処分せずにに残しているのは純粋にすごいことだなと。それ以外にもせなけいこさんが絵本作家になる前の仕事も網羅されており、見応えがあります。紙芝居や幻灯フィルムの仕事などは興味深かったです。幻灯フィルムの一つがプロジェクターで再生されているので、堪能させて頂きました。

せなけいこさんは美大に入りたかったようですが、親の反対もあり日銀に就職されたそうです。日銀で働きながら、紙芝居など絵に関わる仕事もしていたようです。日銀の原稿用紙に下書きされていたのが印象深かったです。当たり前のように、デッサンとかクロッキーがめちゃくちゃうまい。

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写真スペースもあり、大きなパネルなどが用意されています。せなけいこさんの本棚も再現されています。また、「ねないこだれだ」「めがねうさぎちゃん」「ふうせんねこ」の顔をプリントした丸テーブルがあったんですが、なぜか「めがねうさぎちゃん」は不人気でした。「ねないこだれだ」人気すぎ。自分はすっごい怖かった覚えがあるんですけど。

いつもは展覧会のグッズは見向きもしないのですが、今回は色々買ってしまいました。ようやく、大人サイズのねないこだれだTシャツを手に入れることができました。マグカップにトートバッグなど、色々散財してしまいました。手帳型のスマホケースも欲しかったのですが、持ってるスマホが大きすぎるのと背面指紋認証が使えなくなるので、泣く泣く諦めました。

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いくつかの絵本の書影をプリントしたマグカップもあったのですが、断然「ねないこだれだ」マグカップを選びました。多分、子ども用で小さいのですが愛用します!
トートバッグやTシャツに「ねないこだれだ」が描かれているのですが、光を反射するのでなかなか不気味です。フラッシュを焚いて写真を撮るとめっちゃ光ります。Tシャツは、オフ会で着ていくのを忘れないようにしないと。

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映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」に感じた、おまえのドラクエ5愛はその程度なのか?

ネタバレがまかり通るドラゴンクエストの映画

話題の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を見てきた。公開情報を見たときには全く見る気は起きなかった。5のストーリーを二時間に収めるのはどう考えても不可能だ。「天気の子」で流れた予告編で割とお腹いっぱいだったのだが、ネタバレ感想がTwitterのTLでガンガン流れてくるので、逆に見たくなり、重い腰を上げて見に行った。ネタバレを知ってから見ると、ラストもそれなりに受け入れられたが、それを知らずに見ていたら怒りがこみ上げてきたであろう。


id:fujipon さんや、id:Cinema2d さんが酷評していたので驚いた。最終的に、id:hananekotei さんのレビューが映画を見る後押しとなった。本作に関してはネタバレを読んでから見に行くかを決めた方がいいと思う。

ネタバレなし感想

散々ネタバレ感想が出回っているが、先ずはネタバレなしの感想を留めておく。


人物のキャラクターデザインは、ピクサーやディスニー映画の方向に寄せられているので、あまり好きになれない。山崎監督は観客に近い人物に「そばかす」を配すのが好きなのか、予告編で流れたルパン三世でも「そばかす」の入ったキャラクターが登場していた。正直、私は感情移入できないなと感じた。

鳥山明デザインのままだと、鳥山明映画になってしまうのでメインキャラクターのデザインを変更するのは理解できる。なんだけど、モンスターはほぼ鳥山明なのでチグハグに感じる。

その代わり「ゲマ」はデザインとしてもキャラクターとしても、いい悪役であった。流石、吉田鋼太郎だ。ヘンリーが坂口健太郎で、同じスクエニ映画である「光のお父さん」つながりなのであった。


キャラクターの表情が富んでいて、特にフローラが可愛くてビアンカ派の私も転びそうになった程だ。なのだが、キャラクターの重みが感じられなかった。身体的動きに重さがないのだ。主人公たちの住む小屋は雪山にありしばし雪の上を歩くのだが、雪の上を歩いているように見えない。兎に角、キャラクターが軽い。この軽さは戦闘シーンでも見られる。軽やかさの演出かもしれないが、戦闘に重みが感じられない。中身が入ってないようだ。

雑魚敵はほぼ一刀のもとに斬り殺される。殺された雑魚はMinecraftのブロックのように崩れ去る。つまり「起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている」余地がない。この点はドラクエ5の全否定である。

いい方向に解釈すると、雑魚戦はスピード感がある。ただそれは、ゲームプレイヤーの一体感を阻害するスピード感だ。無双シリーズの方がまだ雑魚敵の耐久力が高い。ボス戦になると、それなりに時間が割かれるのだが、主人たちの攻撃がボスに効いている気配がない。一刀のもとに下される雑魚とのギャップが甚だしい。


音楽の使い方が、とても残念に感じた。ドラクエ5以外の音楽が用いられている。戦闘音楽として4を流すのは台無しだ。全体として、シーンに当てるためにそれっぽい雰囲気の楽曲を他のナンバリングから持ってきているのだが、ゲーム中のイベントシーンが頭に浮かんでくる。つまり、やり込んだプレイヤーほど楽曲と映画のシーンとの乖離を感じる。エンディングになんで「この道わが旅」を流した?いい曲ですけども。

また、「序曲」を使いすぎてありがたみがない。もちろん、ここぞ!というシーンで使っており序盤こそ心が沸き立つのだが、終盤ではシーンが冷めて見えてしまった。折角の、東京都交響楽団が勿体ないのである。

ドラクエ5を映画にするには尺が足りない

というわけで、以下はストーリーのネタバレをガンガン書いていく。
ドラクエ5を2時間に収めるのは無謀である。本作は非常に駆け足でストーリーが展開するがそれでも収まってはいない。なんせ、開始十分で「ぬわー」である。それでも、ドラクエ5を象徴する結婚イベントには時間がかけられている。ただし、子ども時代がダイジェストでありレヌール城などはモノローグで語られるにすぎないためビアンカとの関係性が希薄すぎる。

また、多くの設定がスポイルされている。マリアは登場しないし、パパスはグランバニアの王ではなさそうだし、女の子も生まれない。もちろん、映画化する際にエピソードは取捨選択されるのが普通だし、ゲーム通りのストーリーである必要は無い。しかし、本作の趣向から考えるとSFC版準拠にすべきである。

ドラクエ5のもう一つの衝撃は主人公が勇者でなかったことで、映画でも再現しようと試みているが、やはりゲーム体験とは一線を画すと感じた。

ドラクエ5を映画に落とし込むなら、少なくとも二部、かのうならば三部作くらい必要だろうか。贅沢に分けるなら、子ども時代、結婚あたりまで、ラスボス撃破となるだろうか。


山崎監督はドラクエの映画化を頼まれた際に、最初は断ったのだという。その理由として、ゲームと映画の体験は違うという至極まっとうな認識を語っている。しかし、とある仕掛けを思いついたことで結局は映画化を引き受けた。それが物議を醸し出している、ドラクエ5VRをプレイしている、という仕掛けなのだろう。このVRではプレイヤーは完全にゲーム世界に没入しており、日常の記憶はないという設定だ。このような仕組みを映画で再現するなら、主人公はゲーム中でVRであることに気がつく必要がある。それがコンピュータウィルスによるどんでん返しなのだろうが、尺が足りなさすぎて説明が不十分だ。
この現実パートは実写でもよかったのでは?とも思える。主演は佐藤健であるし、監督は山崎貴である。実写であってもなんの問題もない。むしろ、その方がゲームであるVRと現実との対比をしやすいだろう。


ゲマを親子二人でドラゴンボールのセル編のように倒した後、突如現れるのはゲームの世界を牛耳ったコンピュータウィルス。戸惑う主人公は、自分がVRを体験していることを思い出す。その彼に、ウィルスは制作者の「大人になれ」というメッセージを告げる。なんとも悪趣味だ。映画に怒ってる人は、このメッセージを映画制作側からのメッセージと受け取っているように見受けられる。ウィルス制作者による「大人になれ」や「虚無」などのメッセージに、ゲームを破戒する行為に関しては、ゲームに限らずエンタメをそういう風に思っていて破戒したい人いるよね、と思うので特に怒りなどはわかなかった。


ただし、ネタバレを知っても尚、ドラクエ5のストーリーを映画化したと思っていたら、実はVRでした、という仕掛けを説明するには尺が全然足りないと感じた。もっと時間をかけるべきだ。突如現れたウィルスが現実を突きつけたと思ったら、唐突にアンチウィルスであると主人公に告白するスラリン。結局、ウィルスはこのスラリンの助けによってあっという間に駆除されるのだが、発動する前に隔離しとけよ。無能か。

おまえの思い出はその程度なのか?

話題の映画をふたつ見てきた の増田でも語られるように、作中の「クエスト」や「じこあんじ」に「ロボット」など違和感ある用語、プサンのメタ発言、冒頭における子ども時代がSFCベースの画面によるスキップされるのも、VRへの説明付けである。

主人公はVRをプレイする前にオプションとして子ども時代のスキップを選択しており、また何度もビアンカを選んでしまう自分にプログラムとして「じこあんじ」をかけていたのだ。


設定としては悪くはないと思う。VRであることを認識しながらエンディングを迎える主人公は、観客と呼応する。ゲームを終えなければならない気持ちとも一致する。ただし、それは突然のウィルスの登場を受け入れられればの話だ。ネタバレを知っていた自分は、なるほどとも思えたし、山寺宏一扮するスラリンが「ワクチンプログラムだー」と叫びながらロトの剣っぽいオブジェクトを渡すシーンは不覚にも笑ってしまった。

突然ウィルスを投入させるよりも、何らかの不具合が生じて主人公がVRであることに気が付くも、プサンなどのNPCと協力して解決し通常のゲームルートへ戻るなどの方がよかったんじゃないかなぁと思うのだ。
そもそも、実は世界がVRやゲームであったという設定は散々使い古されており、まったく新鮮味がない。


仕組みとしては悪くないのだが、ドラクエシリーズと共に育ち、それをワクワクしながらクリアした過去があり、しかもSFCドラクエ5をクリアしたなら、この映画におけるVRドラクエ5におまえは満足できるのか?と主人公に問いたいのである。おまえのドラクエ5への思い入れはその程度なのかと小一時間問い詰めたい


映画の冒頭は子ども時代のダイジェストだが、SFC版のオープニングが「ほぼ」そのまま流れる。それなのに、作中のVRグランバニアのエピソードが語られることはない。また、「ほぼ」としたのは、なぜか船旅中にフローラと会ったことになっており、わざわざ子ども時代のフローラのドット絵まで用意してイベントを「捏造」している。そのシーンを流すならPS2版などのリメイク版を流すべきだろう。さらにフローラのドット絵のできが悪いのだ。そもそもFC版とSFC版のウィンドウが混在しているのもあり得ない。


SFC版をプレイしたならば、そのVRをプレイする主人公はSFC版準拠の世界やストーリー展開を望むと思うのだが、先にも述べたように本作はまったくそのようになっていない。

もちろん、VR用にアレンジされているとも説明できるし、本作のVR機はプログラムを自己生成できるとされているので、主人公の気持ちをくみ取って改変している可能性もある。あるのだが、それならばわざわざVR機が「じこあんじ」を設定するかね?という疑問が浮かぶ。結局「じこあんじ」はVR中のフローラによって阻止されビアンカと結婚することになる。「じこあんじ」をわざわざ設定する意味はVR的にも映画的にも意味がありましたかね?という。

まぁ主人公が「キラーマシン」を「ロボット」と称する程度のプレイヤーだっと解釈することもできる。「ロボット」もVRをプレイする際に主人公がオプションで追加したものだ。その結果、その「ロボット」は妖精の国への道中で出現するのだが、当然のようにそれは「キラーマシン」である。なのであるが、作中の登場人物は「ロボット」としか呼称しない。恐らくVRプレイ前の設定時に「ロボット 」としたからだろう。しかし、これは映画の観客に向けたとしても、VRをプレイするドラクエ5好きの主人公としても、「キラーマシン」と呼称して全然問題ないはずだ。この言葉選びを映画の製作サイドがどこまでこだわっているかは分からないが、「キラーマシン」を「ロボット」と呼ぶ主人公は、言うほどドラクエ5に思い入れがないのかなと感じた。

そのくせに主人公の名前は「リュカ」なのだ。久美沙織による小説版の主人公の名前なのだ。これは主人公が小説版が好きだからこそ出てくる設定だ。つまり、主人公はドラクエ5に思い入れがあるはずなのだ。そうでなくては、その他の演出とも整合性がない。するとやはり、この程度の再現度のVRを満足できるのかという問題が再燃するのであった。

ちなみに、製作委員会は久美沙織に仁義はを通してないらしい。そのため、氏はスクエニを相手取り提訴している。

スクエニも戦犯

雑な音楽の取扱いや軽すぎる戦闘シーン。魔物使いなのに、実質的に仲間にしたのはスライムとキラーパンサーとブオーンのみ。多くのスポイルされた設定がVRドラクエ5のデキの悪さを浮き立たせている。そして、それは映画のデキの悪さでもある。

リュカに限らず、本作はスクエニにも責任があるだろう。山埼監督は、堀井雄二とも綿密な打ち合わせをしたのだという。仕掛けとしてはメタゲームが好きな堀井雄二らしいともいえる。ゲーム内とはいえ6は、本作とよく似た構造ではある。しかし、その試みは成功したとは言えない。そもそも、オファーを断っているのに映画化を推し進めたのはスクエニ側である。

ドラクエ5SFCの作品なのに、FC版とSFC版のテキストウィンドウが混在するとか、ブランドイメージを守るつもりがないとしか言いようがない。


本作を映画館で見るなら、ネタバレを見た方がいい。そうでないなら、オンデマンドなどで見ることをおすすめする。それほどまでの価値はない。

仕事の経験を生かしてFF6を探求し続けるエディさん

電子マネーの人」ことエディさんが、日経 x TECHのインタビューを顔出しで受けていて驚いた。動画を投稿し始めた2011年頃は大学生であり、2016年頃に就職していたのはなんとなく把握していたが、どのような職種までかは分からなかった。SHIFTでテストエンジニアをやっているそうで、納得の就職先である。インタビューでも語っているように就職してからより一層バグの見つけ方や、その生かし方に磨きがかかっている。本職と趣味が一致し、それが互いに相乗効果を生み合っている例であろう。

エディさんのように仕事と趣味をそれぞれ回していって、実生活もオタ活ライフも互いに向上させようってコンセプトの同人誌をコミケに出します!「8/11(日)3日目 け-04a」でよろしく!
lastline.hatenablog.com

「飛空艇バグ」から始まった

エディさんの記事を書こうと思ったのだけど「ねとらぼ」がガッツリ記事にしたり、取材してたりするのであんまり書くことがない。が、自分の思いを語って行きたい。

エディさんがFF6の極限低歩数クリアを始めたきっかけは、PS版の「やりこみじいさん」がクリア歩数を表示していたからと語る。インタビューでも「羽目」と表現しているように、やり込み気質なのであろう。
当初は「飛空艇バグ」を主軸とした低歩数を目指していた。インタビューでは、調査をして頭の中でプレイはするが試走はしないと述べている。初期の動画からもそれはうかがい知れ、その結果「こそドロ一匹狼」に辛酸を嘗めさせられ再走している。これが後に回避可能となった点は、「3つのボタンでカービィボウル(総合)」 なるしす さんの公開マイリスト - ニコニコ動画 が思い起こされる。

「飛空艇バグ」とは、魔大陸へ乗り込んで一旦脱出し、飛空艇で飛行した状態で魔大陸へ戻り全滅すると、最後にセーブした場所から、なぜか飛空艇に乗った状態で再開する不可解なバグである。FF6は全滅すると、レベルや経験値のみを引き継いで最後にセーブした地点から再開する仕様であり、恐らくそれに関わるバグなのであろう。FF6は様々な機種に移植され、それぞれの機種でしか再現しないバグもあるが「飛空艇バグ」はほぼ全ての機種で再現可能である。
「飛空艇バグ」を使い飛空艇で移動することで様々なイベントをすっ飛ばして歩数を減らすのが当初のチャートであった。動画ではしばしサクッと「飛空艇バグを起こします」と説明されるが、そのためには魔大陸まで進める必要があるため、労力は半端ない。
この「飛空艇バグ」が発見されたのは2011年頃であり、エディさんがFF6と始めた頃でもある。「飛空艇バグ」の発見がもっと遅かったら、現在の低歩数クリアはなかったかもしれない。

任意コード実行

実機で可能な低歩数は何歩であろうか。その答えは「0歩」である。2015年頃に発見された「52回全滅バグ」により、それが可能となった。このバグはかなり凶悪で任意コード実行が可能である。FF6では全滅時にメモリ領域に何らかのイベントコードがスッタクしていき、52回重ねるとプレイヤーが操作できるパラメータまで侵食してくる。つまり、フラグなどを操作できるようになる。
メモリ溢れによるバグはFF3や4の階層バグなど多くのゲームで報告されていた。任意コード実行は2015年前後に流行ったバグで、例えばスーパーマリオワールドでも可能だ。当初はTASで再現されたが、最近は人力でも可能となっている。
FF6ではウィンドウカラーやアイテムによって任意コード実行が可能となっている。FF6には実に多くのウインドウが用意されており、それぞれで色を設定できるためプレイヤーが自由にいじれる数値が非常に多い。これも「52回全滅バグ」による任意コード実行を容易にしている一因でもある。

プレイヤーが自由に数値をいじってデータを改ざんする方法として、最近ではRPGツクール3内のお絵かきソフトであるアニメティカにるセーブデータ改ざんが流行っている。

シドタイマーの発見

「飛空艇バグ」も「52回全滅バグ」もエディさんが発見したバグではない。2018年にエディさんは「シドタイマー」を用いたイベントスキップを発見する。
FF6には様々なタイマーが存在する。マッシュ救出イベントではプレイヤーはタイマーの存在を自覚できる。FF6では、これ以外にも多くのイベントがタイマーで制御されている。タイマーに関するバグはFF5の水没したウォルスの塔のタイマー持ち出しなどが見出されていたが、ゲーム攻略に組み込めるようなバグではなかった。

シドタイマーは、崩壊後のシドが死ぬのをカウントするタイマーである。プレイヤーはタイマーの存在を自覚できないが、一度セットされると他のタイマーが作動するまではループする仕様である。FF6ではタイマーが作動しているセーブデータを閲覧して、別データをロードすると、そのデータにのタイマーを引き継げる。これはニューゲームでも可能だ。すると、どのようなことが起こるのか。
シドタイマーはシドの死を管理している。0になるとシドが死ぬイベントが発生する。RPGでは特定位置に立つことで発生するイベントがあるが、もしタイマーが0になった瞬間にそのイベントマスを踏むとどうなるか。この場合、シドタイマーの処理が優先されるためイベントマスのイベントは発生しない。つまり、タイマーを使うことでイベントをスキップできる。これにより、さらなる低歩数が可能となる。最近ではより使い勝手のよい「ドアタイマー」が発見されている。

エディさんはタイマー持ち出し自体は発見していたが、それがゲームに決定的な影響を与えるとは思っていなかったようだ。ある時にタイマーのカウントダウンとイベントマスを組み合わせることを思いついたらしい。一度捨てたものが利用できた事例で、これがインタビューにもある「過去の結論を信用しない」ことである。テストエンジニアとして働いる経験が、シドタイマーによるバグの発見につながったのであろう。

低歩数はさらなる未知な領域へ!

エディさんは、直近で「ドアタイマー」持ち出しでのRTA動画を投稿している。RTAとしては、NEW GAME+というカテゴリ。+で無い場合は、まっさらな状態からゲームを始めること指す。ニューゲームから始める場合であっても、そのために色々仕込みなどを行う場合は、その時間を含めるべきだという考えに基づく。つまりNEW GAME+出ない場合はドアタイマーを仕込むまでの時間を含めて測定する。
ゲームによっては強くてニューゲームなどもあるため、NEW GAME+というカテゴリでは仕込みの時間は含めないレギュレーションになっている。

エディさんの尽力もあり「テント回避バグ」をはじめ、さらに多くのバグが発見されている。その結果、選択肢が増えすぎて、どのようなルートで低歩数を実現できるかが見積もれない領域に突入している。これからも、様々な発見があると思われるので、今後もエディさんによるFF6の極限低歩数クリアを要チェックだ!